ムルチストラーダ1200Sは、左ハンドルのウインカーボタンで、走行モードを走ってる最中でも簡単に変えることができます。サスの硬さとエンジン特性、トラクションコントロールの強さなどが変わることによって、スポーツ、ツーリング、アーバン、エンデューロの4つのモードが用意されているわけです。雑誌などを読んでも違いが良く分からないアナタ。私が分かりやすく、素人っぽく解説しましょう。

アーバンモードは試乗したときでもすぐ分かります。サスがフワフワ、加速はトロトロ。別名フワトロモードです。これがなぜ街乗り向きなのかは良く分かりませんが、たぶん、トラクションコントロールのレベルが6(全部で8まで)と強いので、いきなりマンホールとか、ガタガタ路面とか、ぬれた場所とかがあらわれてもタイヤのスピンをバッチリ抑えてくれるということでしょう。

1000km乗っても良く分からなかったのが、ツーリングとスポーツ。スポーツにすると、加速したときの音がちょっと変わり、腹に響く重低音になる、というぐらいの違いがようやっと感じ取れたぐらいでした。でも、道北2泊3日1400kmを走って、その違いがはっきり分かりました。加速の仕方が全然違います。同じアクセルの開け方でも加速が違うので、同じ走りのつもりでも、スポーツモードの方がスピードが出ています。平均したら10~20km/hぐらい速くなっているんじゃないでしょうか。ツーリング中に高速のいいワインディングがあって、ちょっと飛ばしてみようかという時にスポーツモードにすると楽しめます。カーブを抜けたあと、ドカらしい素晴らしい加速感を味わえます。スピード出すぎて怖いぐらいです。一方ツーリングモードは、流れてはいるけど混んでる道で、スピードを抑えて走るときに使うとバッチリです。

ツーリングでは、ほぼこの2つのモードで十分です。私はアーバンのトラコンレベル、デフォルト6を7に変えました。トラコンレベルは8段階で自由に変えることができます。説明書によると7はレイン、8はヘビーレインと書いてあります。ツーリング中に雨や霧でぬれた路面を走らなければならないときにこれを使うことにしました。

エンデューロはほとんど使ってないのでよく分かりません。道北ツーで1kmぐらいダートを走るハメになり、使ってみました。対向車線をSSのバイクが両足バタバタさせながらヨロヨロとすれ違っていきましたが、ムルチはダートも全然平気です。ただこれは、オフ車のようなアップライトなポジションのなせる技も大きいと思います。安定しているのでもっとスピード出したい誘惑にかられましたが、石ハネで傷つくのがイヤで30km/hぐらいでゆっくり走りました。分からないのは、トラコンレベルが2ということで、ダートだと、ぬれた路面より滑るのに、こんなもんでいいのかななどと疑問に思ってしまいます。8でいいのでと思ったりしています。うーん、なぜなんだ。ちなみにスポーツがトラコンレベル4、ツーリングが5です。1は熟練ライダー向けオフロード仕様でホイールスピンが高めだそうです。3はサーキット仕様だそうです。1と3は一生使わんだろうなあ。

エレクトリックサスペンションというのがあります。荷物ありとかタンデムとかでサスの強度を変えられます。おもしろいのは、またがったままでこれを変えると、車高が上がったり、下がったりするのが感じられることです。ウイーンとちょっと気味が悪いぐらいです。

ABSなんてほとんど使わんだろうと思っていたら、けっこう使われてます。ぬれたトンネルでブレーキをかけた時に、手にも足にもレバーにコツコツという感触がありました。「おおっ、効いてる、効いてる」とうれしくなりました。舗装路だけど荒れた路面でも一度コツコツときました。

それから、凹凸のある路面、例えば補修でツギハキになった路面などで、GT1000だとガツンと凹凸を拾い、体が投げ出されそうなショックがありましたが、ムルチにはありません。ツーリングモードでもスポーツモードでもいたって快適です。

顔をよせてじっくり見ると、作りが雑なところがあるのが愛嬌です。カウルの横に小さなポケットがついていますが、フタに隙間があります。ヘッドライトとカウルの隙間が左右違うとか、サイドパニアの隙間も大きすぎて、雨が入るだろうな。ホンダのいろいろなバイクを見たり、乗ったりしています。キチっとしてキレイな作りがうらやましい。VT1300のあのキレイなエンジン、いいなあ。

ライバルのR1200GSとの比較です。GSに乗ったことがないので見た目の感想ですが、GSは戦車のように重厚なので、まさにデュアルパーパスという感じがします。ドロに汚れるのが似合いそう。大陸横断もできる。ムルチには無理でしょう(^_^;) 繊細すぎる感じです。でも美しいフォルムは街でも山でも海沿いでもどこを走っても、まったく違和感なく溶け込めます。オシャレに乗って、実はロングツーリングもこなせて、スポーツ走行もできて、ダートだって走れる能力を持ってる。そんなバイクがムルチです。どんな道でも走れて、どこまでも走っていけるGSと、デュアルパーパスの意味がちょっと違うような気がしてます。












